2021年2月12日の日記より
日本は大都市圏を中心とした1月9日からの緊急事態宣言によって新規感染者数の数が減っている。では欧米はどうかというと、同じく急激に新規感染者数が減っているのが報道されている。アメリカ、イギリス、ドイツなどでも減っている。1月上旬と比べて大きく減っていると言う事になるが、要因を考えてみたい。
大きな要素として12月はどの国でも年末と言う事もあり、アメリカでは11月末のThanksgivingでは普通に旅行に行っている人が多いと報道されていたし、12月中旬からはクリスマスムードがあっただろう。欧州についてもクリスマスの人手は多かったはずで、日本も12月中旬くらいはまだ人手が多かった。それらの反動が12月末から1月上旬に現れたのがまず初めの影響であろう。そのタイミングでどの国も引き締めを行い、日本も緊急事態宣言を行った。その結果として2月中旬の現在の感染者数減少に繋がっている。緊急事態宣言等の締め付けの影響が出ていると言える事は言えるが、12月のゆるみの影響が消え去ったとも言えるし、12月のゆるみの影響で締め付けを行っているので、後者が主で前者が従と考えるのが妥当だろう。
人の往来が多い事が感染の拡大を招くことは間違いないわけで、それに与える因子としては、緩みと締め付けこの二つを要素として考えるのが妥当だろう。そういう観点から言うと、報道では緊急事態宣言が解除されても「緩みを押さえた行動を」という呼びかけが出てくるだろうが、国民全体がそれに従う訳もなく、緩みが出てくるわけで、今後も拡大と減少、緩みと締め付け、これが続いていくのだろう。それに季節要因が加わる感じで暫くは続くと思われる。
ワクチンは感染拡大にどの程度の影響があるか分からないが、軽症者、無症状者を増やすことになり、単純にウイルスの拡大という観点では、マイナス効果の可能性だってあるだろう。もちろん、重症化を防ぐことには役立つはずであり、その点から感染拡大は広がるが重症化率が下がり、普通の風邪に変わっていき、日々の感染者数の報道などはいらなくなる、それが理想的な姿だろうが、これは結果を統計的に見て行かないとならないので、そういう判断を国際社会が納得して解釈するまでには、ワクチンによる効果が一定程度続く必要があるので、まだ時間がかかるだろう。
1910年代に流行したスペイン風邪では、日本では大きく分けて3回の流行があったと言われているらしい。1回目は確か1917年の5-7月、二回目は1917年の11月から18年の5月、3回目は18年11月から19年5月というのが日本で見られた3回の波のようだ。3回目が一番強毒化したようで、一方で感染率は下がったというのが磯田氏の著書によると分析されている。いづれにせよ流行が始まってから丸2年は感染拡大期と平穏期が繰り返されたのは間違いなく、これは医療技術が上がった現在でも、ワクチンがあったとしても、基本的には変わらないのではないか、と思っている。
ただ、SARSなんかも地域性があったし、グローバル社会においても、感染症には地域性があるのは間違いない。そういう意味で言うと、この一年で分かった事の一番大きな事実は、アジア人は欧米人に比べて重症化しづらいという事である。この点は明らかなのだが、誰も声を大きく言わないのは不思議な所だ。いづれにせよ、最初の流行が20年3月だったので、22年3月までは緩みと締め付けを繰り返す生活が続けられるのだろう。ワクチンが出たとはいえ、ウイルスの強毒化を防げない可能性もあり、ワクチンやウイルスの変異は補助的な因子であり、本質のところでは集団免疫に近づくかという事であり、2年は少なくともかかるのだろう。
そして「感染症の日本史」によると、歴史を紐解くと20年ごとには大規模な感染症というのは出てくるものであり、これは世代の入れ替わりと大体時間的に一致する。ウイルスの遺伝型が多少異なるとはいえ、前回の大流行時に感染している免疫を獲得している世代が退場すると、新たな感染症が猛威を振るうようだ。SARSが2003年頃ではなかったかと記憶しており、だいたいそんな理由にも納得が出来る。そういう事で言うと来年春頃には落ち着てい来るのかもしれないが、こういった感染症は20年に一度は出てくるものだ、という認識で過ごしていくべきなのかもしれない。