アメリカンドリーム

アメリカンドリーム

アメリカでは4大とも5大とも言われるプロスポーツが有名であり、フットボール、バスケ、野球、ホッケー、サッカーと色とりどりだ。それぞれに競技においてカレッジもすそ野が広く、カレッジフットボール、カレッジのバスケットボールは異常な盛り上がりがあり、お金もかなりの金額がスポンサー等々から動いている。プロスポーツのトップ選手の年俸は数十億円にもなり、広告露出も多く100億を稼ぐような選手もいる。ゴルフもトッププロが大金を稼ぐ競技であり、とにかくスポーツで成功を収めるというのは、アメリカンドリームの一つとして挙げられており、子供たちはそれを夢見て小さなころから生活する。

もちろん映画俳優、歌手、これらもアメリカンドリームを体現する存在であり、子供たちはこれらに対してもあこがれを抱き、自分もいつかはそういう存在になるということを夢見て生活するのである。

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これは実は厳しい学歴社会の裏返しであるというように、筆者は思っている。アメリカほど学歴の差を覆すのは難しく、家庭環境が学歴に与える影響が大きい社会はないのではないだろうか。例えば、大学に一人通わせるのに数千万円かかるのはざらであり、有名大学であればもっと費用が掛かる。日本でも私大の学費は高いといわれるが、アメリカの場合、大学進学の費用を賄えるのは一定の富裕層であり、それ以外は学生ローンという方法もあるが、基本的には富裕層の子女が大学進学のほとんどを占める。有名大学を卒業すると就職先は数多あり、一定以上のレベルの収入を得ることができる。

大学に行かせられない層には、TVやメディアを使ってアメリカンドリームの存在をあおる。スポーツ選手の自宅紹介や、日常密着映像を見て、そういった層に対してアメリカンドリームは身近な存在であり、だれに対しても開かれているんだよ、そういったメッセージをTVを使って発信するのである。アメリカンドリームをつかんだ人間のストーリーなんかを紹介するが、親が貧しくて、努力して、みたいな誰にでも起こりうる点を強調するが、実際には天賦の才が導いた側面が強く、誰でもなれるかというと、その夢が破れた一般の人間のほうが圧倒的に多い。その夢破れた人に対しても「アメリカンドリームを本当に夢見れたではないか」というのが慰めになり、不満は爆発には至らない。これが貧困層を押さえつけてきたからくりの一つではないだろうか。ショービジネスを切り貼りして身近な存在と演出することは、富裕層が世代によって入れ替わらない社会を作っていることを、富裕層自身が免罪符としているのかもしれない。