新たな本を読み始めたところだが、ユダヤ人が2500年前に東に移住して、日本人の祖先として日本列島に住み始めたという伝説を検証していくというもので、まだ序盤であるが、今後の展開について期待している処だ。
伝説は色々あるが、実証が極めて難しいという意味で、本能寺の変ブームに似たものがあり、一つの分野として確立していくだろう。本を読む前の予備知識段階で会はあるが、伊勢神宮にダビデの紋章があったり、カゴメカゴメの歌がユダヤの言葉と似ていると言われていたり、もともとそういった伝説は多くある。実際、モーセの十戒の時期にユダヤの地で国を追われた人々がいたのは確かなのだろう。あの地域は当時エジプト、ギリシア、勃興中のローマに囲まれており、色々な権力争いに巻き込まれていたはずだ。南にエジプト、西にギリシアとローマという環境で北か東が選択肢となり、北に行くと気候条件が大きく変わる恐れがある、というか北に行った人間より東に行った人間の方が生存率が高く、東への移住が成功していったというのは説得力がある。
ただ、中国は既にある程度の文明が出来上がっていた時期なので、ごっそり中国の権力を取得して、さらには一部が日本まで移住してきた、というのは今後、本を読みながら分析していきたい。ただ、秦という国家の成立した時代と、三国志時代、大和朝廷、という流れを考えて、その頃に日本にも秦氏という勢力が拡大して、多くの神社を作ったという話だけを聞いても、ロマンを掻き立てる話ではある。
新版 日本人になった祖先たち―DNAが解明する多元的構造 (NHKブックス No.1255)
単に移住してきてその土地土地で中心的な地位を占めるに至るわけではなく、何らかの要因が無ければそうはならないと思う。可能性としては圧倒的な人員力もしくは、何らかの革新的技術と言う事になるだろう。当時の状況を考えると、大きく時代を変える可能性があるのは金属精錬技術と言う事になる。矢じりであったり、刀、槍、そういったものに使われる鉄の精錬に長けていれば、戦争で優位に立てる。インカ帝国とスペインの戦争ではないが、今まで交流が無かったと力の侵略者が画期的な武器を持っている場合は、圧倒的な力の差が生じてしまい、一気に勢力を拡大すると言う事があり得る。ユダヤ人の強みがそこにあり、戦争で一気に東アジアでの勢力を拡大していった、という事であれば面白い話であるだろう。
そうでなくても人類の起源はアフリカであり、そこから色々なルートがあるが数万年、数十万年をかけて東アジアまで広がってきたのはほぼ間違いのない事のようだし、今日本人の中心になっている集団が3万年前に来た人か、2500年前に来た人かの違いだけであり、それほど大きな問題でも無いとも言える。
いづれにせよ、日本最初の高炉が作られた日本の鉄の発祥の地は、いまは日本製鉄の八幡製鉄所となっており、八幡という地名には、八幡神社が強く影響しており、八幡神社は秦氏の影響が強いというのが歴史的な見方である。そう考えると、現時点では非常に貧弱なエビデンスではあるが、ユダヤの人々が鉄を持って東アジアを征服していったという考え方に通じるものがあり、今後の本の展開には期待したいと思っている。