マスコミの本性

2020年8月25日の日記より

マスコミの本性

テレビを見る時間が本当に少なくなった。子供のころ、家に居る間はずっとテレビがついている状態だったような記憶がある。両親がテレビがついている事の安心感を持ってたからなのか、今みたいに携帯電話も無くテレビ以外に情報発信機器がなかったせいなのか分からないが、そういう印象がある。朝はズームイン朝がついていたし、夜はナイター中継がついていた。そういうのが日常だった気がする。

最近は子供たちと夜のバラエティー番組を見る事はあるが、その他は、一日に数十分NHKのニュースを見るくらいになった。特に避けたい気持ちがいっぱいなのは情報バラエティーと呼ばれる番組で、中身が全くない。恐らくはターゲットの視聴者層に筆者が入っていないのが大きいのだろう。昔に比べてテレビの相対的な存在感が無くなった結果、テレビの方も小分けにされたターゲットに対しての番組制作を行っていると思う。恐らくはいまだに豊かで暇を持て余している50,60,70代の主婦層がターゲットなのだろう。この辺の世代が一番テレビを見るし、この辺の世代の女性は働いていない率も高く、そういった意味でもテレビを見る。また、この辺の世代には社会に出た事がない人も時代背景的にも比較的多く、一般常識レベルの低さ、また複雑な事象を分析する経験不足、これらが相対的に顕著なものである。これに対して、一瞬の切り返しにだけは長けた謎のコメンテーター、喋りだけは上手な詐欺師のような番組MCと呼ばれる人々、が持論を展開するというのが情報バラエティー番組であり、筆者の価値観からは一番遠く、科学的な観点、実証主義、そういったことを一切無視している番組になっている。

見た事が無いわけではないが、どんな社会問題であっても、彼らがやっている事はとにかく視聴者の不安をあおる事であり、今回のコロナ騒動にしても、世の中そこら中にコロナウィルスが存在しており、自分という存在以外はばい菌扱いしようとする人間を圧倒的に増やしてしまっていると思う。こういった態度が、自粛警察や感染者への過剰な反応を増やしているが、いままでインフルエンザや風邪の流行期には皆さんどうしてたのだろうか、と聞きたくなる。手洗いうがいをやっておくこと、これを徹底すればさほどの脅威ではないだろう。それにしても不安が煽られており、街中を歩いていても60台の女性とみられる人の、他人を見る目は、本当にばい菌を見るような目だな、と思う事が多々ある。

こういった事は一見、情報バラエティー番組と、それを見ているベテラン主婦層の問題であり、テレビは見なければいいだろう、というご意見を頂きそうではあるが、深刻なのはこういったものが世論になってしまう事である。一つ目の問題は人口構成上、50代以上の人間というのは全国民の半数弱であり、選挙権を持っている人間で言ったら半数を圧倒的に超える。これは一般的な感覚から言うと驚きであるが、恐らく例えば歴史的なスパンで言うとごく最近である40年前でも恐らく相当比率は低かったと思われ、その時のイメージは現在生きている世代にもしっかりと残っており、イメージの中ではそんなに高齢者が圧倒的な多数を持っているとは認識できていないことがあると思う。しかしながら事実は、選挙を行えば、半数以上が50代で、もう少し経つと、半数以上が60代という社会もあり得るだろう。テレビが視聴率を取るためにこういった世代をターゲットとするように、政治の世界でもこういった世代をターゲットにすることが、当選への近道なのである。これは古今東西問わずだと思うが、若者は投票率が低い。それも相まって、選挙における政策のターゲットは高齢世代にならざるを得ない。

ここに大きな問題があり、そういった世代はまず複雑な社会問題を将来的な自分の問題として認識して、検証してきた経験が少ない事もあり、また自分の余命が相対的に短い事もあり、まず物事を中長期的に捉えない。また、DXであったり、働き方改革については勿論自分の問題として捉えてないし、子育てについても、究極的には自分に関係ないと考える。保育園の騒音に文句を言う爺さん、とかの問題がクローズアップされてたが、こういう人間がどうして自分の主張、わがままを表に出せるかというと、世の中で多数派であり、権力を握っているからである。権力というとオオゴトのようだが、間接的に立法権、行政権を行使して、国の政策を決めるための力を持っているのは、この国では高齢者なのである。権力者は高齢者なのである。子育て環境が整備されないのは国の問題だ、とか、働き方改革が進まないのは国の問題だ、とか、コロナ対策がいまいち成功しないのは安倍首相が悪いとか、そういった不平不満が的外れなのが、なんとなくわかって頂けると思う。

子育て環境よりも社会保険、高齢者の医療、年金受給額を守る予算編成になるし、DXに至っては高齢者には何のことかわからないので法整備も後回しになり、コロナについても経済を回すという感覚は無くとにかく自粛、これもマスコミが良く言う論調である。

高齢者の年金を誰が稼いでおり、だれが払ってあげているのか、こういう根本を議論する事はせずに、またそういった観点から中長期的な年金の健全な運用のために若者の雇用を増やす必要があるという議論もせずに、高齢者の目先のちょっとした利益のみを優先する社会が出来上がってしまっている。これは、人口動態的に仕方のないことかもしれないが、国家100年の計を考えられる高齢者がもう少しだけ増えてくれることを、望む昨今ではある。