2020年9月4日の日記より
香港の中国化とアヘン戦争
香港が中国に返還されたのは1997年で20年以上が経過したことになる。じわじわと進められてきた同化政策が本腰を入れられ、民主化勢力と中国政府勢力の衝突は昨年から報道をにぎわせている。西側のメディアは一国二制度を守り、西側寄りだった香港を今まで通り維持する方向を支持する報道であり、日本もどちらかというとそちらを追随するような報道が多い感じがする。香港の金融センターとしての機能、観光地としての魅力を総合すると当然のことのようにも感じる。
しかしながら歴史を紐解くと、植民地主義の最終段階として東アジアにまで欧州の勢力が伸びて来た時に、アヘン戦争を仕掛けてイギリスが香港を割譲したのが発端である事は忘れてはいけないのではないかと思う。筆者が小学生の時に香港はイギリス領土で1997年に返還される予定だと習ったが、こんな理不尽な話は無いと思った。植民地政策の苛烈さと、如何に欧州諸国が自国の利益のためだけに生きていたのか、という点を強調するような出来事だった。筆者は正確に調べたわけではないが、学校の知識で言うと、不平等貿易を押し付けられた中国側が英国に反発して、その報復として英国がアヘンの貿易を迫り、中国側は取り締まろうとしたが、巧妙に国民に浸透してアヘン中毒者は増えるは、貿易の不均衡(中国側の貿易赤字)は増えるは、傍若無人である。その貿易のための租界地として香港があったと記憶しているが、言い方は極端かもしれないが、例えば日本で言えば、沖縄は返還依頼一国二制度でアメリカの法律が適応される状態だったものが、日本の制度を適応しようとしたら沖縄の人々が怒り出し、アメリカが日本政府を批判する、というようなものである。沖縄本土復帰当時の国民感情がどうであったかは、詳しく知らない立場ではあるが、今の常識から考えた場合、我々日本人は「日本の領土になったのだから、日本の法律、日本の制度が適応されるのが当然だろう」と考えるのが普通ではないだろうか。
勿論、日本と米国に対して、中国と香港の違いというものは大きさが違うのかもしれないし、制度的に異なる面が大きくある、そういった突っ込む点はあるのだろうが、大きく見れば、こういう言い方が出来なくもない。
こういう所で報道というものの怖さを感じる次第で、報道では中国は軍隊を使って“民主的なデモ活動”を鎮圧しているという映像を強調し、軍隊の恐ろしさを植え付けようとする。ただ、国の秩序というのは、安心な国民生活のためには必要不可欠であり、治安維持は国の最優先事項である。国民もそのために税金を払っていると言っても過言ではない。米国でもBLM運動に対する軍隊の出動を批判的に見る向きが多く、日本のワイドショーでもコメンテーターと呼ばれるよくわからない人たちが、「一般市民に対して、一般市民で構成されている軍隊が銃を向けるなんて信じられない。物騒だ」という単純化して、偽善的なところだけを抜き取った歯の浮くようなコメントをしているケースがある。それをトランプ大統領のせいにしておけば、日本のワイドショー的には、悪の権力に立ち向かっている正義のヒーロー感を演出できてしまうのである。
しかしながらBLM運動も色々あり、暴力的であり、略奪をしているケースもある。そういった中で治安維持というのは国家として最優先事項であることは言うまでもない。しかも警察組織が批判にさらされ、国民の批判を受けている渦中であれば、警察組織による治安維持に不安が残る状況であり、軍隊の投入は正当化されると思う。軍隊の投入は自国軍隊を自国地域に治安維持のために送っているだけであり、どこかの国の侵略を進めているわけではないし、税金を使った治安維持である。これが批判されるのであれば、治安はどうやって維持されていくのであろうか。 治安維持と人権問題をもしかしたら比較したくなる方もいるかもしれない。二者択一論という単純化により、人権問題の方が重要なのだから、軍隊で声を消してしまうのは、如何なものかと。まず言える事は、これは対立事項では無いという事であり、人権問題の解決を行いながら、治安維持を行う事が重要であり、人権問題の議論を行うにも、反対的意見の立場の人に襲撃される、殺される、という恐怖がある中では正常な議論は出来ないはずであり、人権問題の議論はデモが鎮圧されたらおしまいではなく、治安が維持されてこそ正常な議論が行われると、認識すべきであろう。トランプ大統領が対立をあおっているという言い方を好きなマスコミが多いが、対立をあおっているのはマスコミの方だろう。その方が視聴率が取れるのは間違いないので、企業活動として利潤を追求する立場からは批判をしないが、責任転嫁をして権力者を貶めている様では、先を思いやられる。そういう浅はかな戦略は見透かされており、国民は責任転嫁をされている人を支持するのである。マスコミが報道する世論調査の結果にはあまり反映されないが。そういった面からも、今回の大統領選挙もトランプ大統領が勝利するのではないかと、筆者は考えている。